こんにちは。つなぎ百貨堂ブログの、産地レポート担当、小津奈木みかんです。
今回取りあげるのは、独特の甘い香り、そして甘みとコクもしっかりあるポンカン。各地で栽培されていますが、津奈木町が誇るブランドが「赤崎ポンカン」です。町内でも赤崎地区のごくわずかな農家で栽培され、当地では歴史のあるかんきつです。
栽培して50年の岩崎幸一さんの畑を訪ねました。
赤崎といえば、アートプロジェクト「赤崎水曜日郵便局」の舞台にもなった海の上に浮かぶ「旧赤崎小学校」の校区。みかん山の中にある狭い集落道を登っていくと岩崎さんのお家とみかん畑はありました。たわわに実るポンカン!いい香り。そしてなんてかわいい。
「ここにある木は古い木で50年。老木は木が大きいから、収穫するのに半日かかる」という岩崎幸一さんは父親の代からのみかん農家。現在は1町歩の面積でポンカンを育てています。「天草は姫戸のポンカンも有名ですが、赤崎のもなかなかのもんですよ」と笑う幸一さん。「構造改善事業で、みな甘夏を植え始めて、最初は値段がよかったんです。私は昭和25年生まれですが、景気がいちばんよかったのは中学生から高校生、それでも、昭和40年代、自分が20代の時まではよかったですね。みかんちぎりの時は、人夫さんを多い時は25人くらい雇ってましたから」すると横で、お連れ合いも「そうそう、10時と3時のお茶の時間のまかないが大変でね」と笑う。
「もう少しみかん畑を見ますか?」と促されてついて行くと…
なんと見事な石積み!
すばらしいー!と大絶賛していると「ひいひいおじいちゃんの代かその前か、ご先祖さんが積んでくれたものですね」とのこと。昔は麦や唐芋をつくっていたそう。
「いやー、最近まじまじと見たことなかったけど、言われてみれば見事なもんやなあ」とご夫妻も一緒に眺めました。
そして、岩崎さんのポンカン畑は、西向きの斜面。土は赤土です。
海側には強い風をよけるために防風林も。現在はちょうど剪定中で見晴らしがよかったです。
岩崎さんご夫妻がいうことには、「ここから海に沈む夕陽を見るのが最高なのよ」
そしてこの西日と、赤崎の赤土が美味しいみかんをつくる。と言われていました。その昔は、水俣地区の生産者と組合をつくり、生協と契約して納めていたとのこと。現在に至るまで、できるかぎりの減農薬を心がけ、土つくりをして育ててきた環境にもやさしいポンカン。その畑はふかふかで、間伐材をチップにしたものが敷き詰めてありました。
無論その味にも定評があり、名前はいえないけど、政界のドンにも送ったとか…。するとその横で、我が百貨堂の松本修平「そりゃーもう、うちの店に分けてもらうのに、5年も6年もかかったもん」とのこと。直売のお客さんでなくなってしまう稀少なポンカンなのでした。
そして幸一さん、納得が行くまで樹上で完熟させるので、松本所長が「そろそろほしいんだけど…」と言ってもなかなか売ってくれない。「まだまだ!俺がいいちゅう時しかだめぞ!」とじらされまくっているそうです。収穫したあとも、かごとかごの間をあけて風通しをよくして貯蔵し細心の注意を払って出荷します。ああー次は夕方に来て、ここから落ちるポンカンのような真っ赤な夕陽を眺めたい…。
そしてこれが、岩崎さんのポンカン
ちょっとでこぼこした果皮ですが、実際はやわらかくて子どもの手でも楽にむけます
切るとこんなかんじ
つなぎ百貨堂オンラインショップでも購入できます。